C o n c e p t
長く彷徨う中でようやく、此処へとたどり着いた。
幼い頃、私が暮らしていた生活には、沢山の自然が共にありました。
シーズンが来ると家族総出で山菜を摘み、投網で鮎やハスを捕る。
お腹が空くと、日の当たる田んぼの畦道で
母の握ったおにぎりを頬張り漬け物を齧る。
夕飯時になれば、今日手に入れた材料が料理になって
テーブルに並んでる。
いただいた猪や鹿、雉や野鴨にワクワクする。
とても豊かな時代でした。
大人になり料理人となった私が今思うことは
「美味しい」とはなんだろう。
根本的な料理に対する疑問でした。
あの少年時代の記憶にある、里山の情景をもう一度見てみたい。
その情景の中に一皿一皿を表現できたらどんなに素晴らしいことか。
例えるなら、1枚の楽曲アルバムにある選曲の展開に
ワクワクするような心躍る体験。
その時々に移り行く季節や景色、そこで育つ食物や生き物たちの
命とセッションをするように、
共に生きるている実感を感じられるような表現ができたら
どんなに素晴らしいことだろう。
そして今、ふるさとである滋賀の山の中に1軒の理想を現実にする
レストランが完成しました。
ハタチアマリヨツ。二十四節気の移りゆく季節の美しさと共に。
日本で育ち、私が深く学んできたフランス料理の経験から
皆さんへと届けられる、たったひとつの体験です。
C h e f
新 井 亨ARAI TORU
1970年滋賀県生まれ。
小さな頃から自然が大好きな子供だった。
故郷の山や川で大いに遊び、少年期を過ごす。
20代に料理への道を決意。
現在まで渡仏、独立を経て、
自身の理想を形にしたレストランである
ハタチアマリヨツのシェフとなる。
美しい日本の24の季節を、土と炎で表現する。